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石田衣良初の恋愛短編集。この後に発行されたものを先に読んでいたのだが、なんとなくこの作品の方がみずみずしさが出ていると言うか、切り口が新鮮と言うか、読んでいてげんなりしなかった。
個人的には装丁がとても好みだ。青空の下紫地の小花柄のワンピースをきた女性がオレンジの布を振り下げている……うーん美しい。

『泣かない』
ハナから「セイジと別れた」という連絡を受けたスギモト。夜中のその電話を聞いてやり、セイジの家の合鍵を返すのを手伝ってやる。そして空いてしまった週末を埋めるために映画に通っていると、ハナがどんなに悲しい映画でも涙を流さないことに気づいた。

本当に悲しい時に、人は心にリミットをかけてしまうのかもしれない。

『十五分』
ユウミとぼくは、一夏をともに過ごした。それは性的な広い航海で、ありとあらゆる場所で二人は絡み合った。

恋愛小説っていうか性愛小説っていうか、あんまり面白くなかった。

『You look good to me』
ネットのチャットルームで知り合ったオスカーとアヒルの子。アヒルの子は事あるごとに「私は醜いから」といい、人間は外見で決まるという。オスカーはそんな彼女のことが徐々に気になり始める。

この話はすごくよかった。決して美人もイケメンも登場しないところが最高だ。

『フリフリ』
立石武彦は、友人カップルから事あるごとに女性を紹介されていた。今は誰とも付き合うつもりがない、と伝えても、クリスマスを一緒にすごす相手がいないのは不憫だと思うのかお見合い攻撃はやまない。その日知り合ったのは江藤潤子という女性だった。

この話もよかったな。「フリフリ」がちょっと唐突だったし微妙だったけれど、設定自体はとてもよかった。

『真珠のコップ』
ヒロトはその日たまたま打ち合わせ先に携帯を忘れた。公衆電話にはデリバリーサービスのチラシが貼ってある。ふと興味を惹かれてそれを剥がし、近くのホテルで電話をいれる。現れたのはリカコというスレンダーな女性だった。

最後の方ほとんどコップが関係ないけど、これはこれで純愛なのかもしれないなあ。

『夢のキャッチャー』
史郎はシナリオライターになりたいという曜子の夢を応援しつつも、どこかで失敗することを望んでいた。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のように、失敗したその時はキャッチャーとして彼女を包み、一緒に暮らそうと思っていたのだった。そんな史郎を尻目に、曜子はめきめきと頭角を現し始める。

円満ハッピーエンドで読んでいて少しも嫌な気持ちにならなかった。

『ローマンホリデイ』
瑞樹はネットの掲示板で「私と『ローマの休日』をしませんか?」という書き込みを見つける。興味を惹かれメールをやりとりするうちに、相手は渋るもののなんとかリアルでデートする運びとなる。

この話だけでいいから是非読んでほしい。短編集全部合わせてもこの話が一番出来がいい。

『ハートレス』
レイコとユタは同棲して仲良く暮らしているカップルだ。しかしレイコは、電車の中で読んでいた女性誌で「三ヶ月以上セックスのないカップルはセックスレス」という記事を読んで衝撃を受ける。その日からレイコはなんとかユタと一発やろうと計画を練り始める。

セックスの話自体があまり好きではないんだけれど、この話はコミカルで結構好きかもしれない。

『線のよろこび』
サツキには恋愛の癖があった。それは「才能フェチ」であることで、しかも相手が成功したら気持ちが冷めて別れてしまうという癖だ。その日サツキは帰り道の駅で、ハッと目を引くイラストを見かける。

こりゃ美人にだけ許される話だなー、と。そうじゃなきゃこんなにうまくはいかないだろう。

『スローグッドバイ』
フミヒロとワカコは、同棲をしていたカップル。二人はそれを解消し、今日「さよならデート」をする。誰かが始めたこの風習は、最後まで円満に関係が終わりましたよ、ということを示すための重要な儀式だった。

この話も好きと言えば好きなんだけれど、嫌いあって別れたわけじゃないカップルっていうのはちょっと不思議な存在だ。
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