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短編集。いろいろなアンソロジーに書いた作品をまとめたものだ。
個人的には石田の書く「自立した女性」というのがどうも押し付けがましく好きになれないのだが、それは私がまだ自立していないからかもしれない。

『ラブソファに、ひとり』
主人公はマンションの住宅ローンの契約のために書類を書いている。一人で来ていることがなんとなく寂しい。人生における重大な責務を果たしたように安心してインテリアを見にショップに入ると、素敵なソファを見つける。それには「一人がけ、ラブソファ、三人がけ」と種類があった。そのラブソファという単語をみた瞬間猛烈に結婚したくなってしまう。

こんな恋愛の仕方もあるよなー、そうだよなー、と思って読んでいたのだが、解説で褒められている締めの一文が私にとってはダメだった。三十代半ばの女性が全員その手の技を身につけているような書き方があかん。

『真夜中の一秒後』
旅行先の台湾で、主人公は五年前「自分はいつ誰と結婚するのか」という占いをした。すると「五年後の十一月一日最初に出会った人と」と言われる。そうしてワクワクしながらその時を待っていた。が、実際にその日になってしまうと、会社の飲み会でその時間は訪れようとしていた。

占いにお金を使う人は女性には結構多い。旅行先での占い程度は思い出のお土産程度で可愛いものだと思う。じゃないと女性誌に毎回星座占いが載っている理由がなくなってしまうから。

『フィンガーボウル』
主人公は夫と二人暮らし。でもその日は年下の男の子とフレンチでディナーを楽しんでいた。彼は鳩を、自分は蝦夷鹿を頼む。男の子の前に運ばれて来たフィンガーボウルの使い方を教えてやる。

これで夫婦生活が破綻しないんだからいい夫だなあ、以上の感想が出てこない。いや、ある種の変態なのか?

『夢の香り』
主人公は若りし頃に見た夢の「運命の相手」をどこかでずっと探していた。その男には顔がなく、頭を肩に乗せると香りが漂う。それはその後男を選ぶ基準にもなった。親友二人とコーヒーを飲みながら、もう一人の友人が現れるのを待っていると……。

石田は異性のにおいを書くのが好きだなあ。この主人公はきちんと分別がついているのが読んでいて楽しかった。

『ハート・オブ・ゴールド』
勤続十年のご褒美として休暇をもらった主人公は、なんとなく沖縄に行き、その日の宿のゲストハウスに向かう。ゲストハウスではハウスネームというものを客が持ち、本名では呼び合わない。一人一品料理を持ち寄って食べる夕食は楽しかった。が、そのゲストハウスは実は大層な危機に面しているという。

心が金持ちだったら、実際の生活が貧乏でも構わない。それは90年代から信じられている迷信かもしれない。が、実際にそれを信じて実行してきた人間も多いし、あるいはその逆でお金さえあれば幸せになれると信じている人間もいる。

『23時のブックストア』
ベテラン書店員の主人公は、年下のアルバイトと深夜のブックストアでレジに立っている。その男の子は「この後時間ありますか?」と聞くのだった。

ショートショート。こういう恋の始まりは素敵かもしれないけど、続かないだろうなと思ってしまう自分の思考回路に「もうちょっとロマンチックになれんのか!」と喝を入れたい気分になる。

『リアルラブ?』
ヤスとカナコはセックスも込みのお友達。ヤスは常連客のマダムが好きで、カナコは店のチーフが好き。お互い共同戦線を張って情報を交換したりしているが、ある日それが思いもよらぬ方向に転がり始める。

セックス込みのお友達って、結構自制心がないと続かない気がする。お互い好きな相手がいたからこれはうまくいったのだな。

『ドラゴン&フラワー』
主人公は高校を卒業するときに、20歳までに処女を捨てると決意していた。大学では意識して女の子らしい格好をし、髪も縦ロールにちかいパーマをあてている。が、ちっとも「この人だ!」と思える人に出会えない。自分だけを見てくれて、自分だけを愛してくれれば、白馬に乗ったりしてなくてもいいのに……。でも、なぜか気になる人はサークルにいるのだった。

モテ期って私には全然なかったので(多分虚数だったのだと思う、これからは来たとしても大変そうだから来なくていい)同時に複数の男性から告白されるというシチュエーションはいまいちピンと来なかったが、誰だって二回目よりは1回目の方がインパクトが強いのではないだろうか。これは必然の関係だと思うなあ。

『魔法のボタン』
失恋したての主人公は、幼馴染と下北沢のカフェで待ち合わせる。寝坊してバタバタとやってきたその女性は、すっぴんにジャージにジーンズという主人公を男と思っていないような格好で、いきなりビールを飲み始める。その変わってなさがなんだか嬉しくて、主人公と幼馴染は来週のデートの約束をする。

こういう関係は素直に憧れる。楽しく飲んで食べて、気がついたら……それがお互い異性とは思っていなかった相手っていうのがいいじゃないか。「魔法のボタン」もしっかり機能していて楽しい。
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