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このインパクトある表紙の実物を私は見たことがある。
京都は東山区にある、崇徳天皇をお祀りしている安井金毘羅宮だ。
いやもうすっごいの。縁を切りたいもの同士を札に書いて石に貼り付け、その石に開いた穴をくぐりぬけるんだけど、行きは「悪縁を切り」、帰りは「良縁を結ぶ」ということで二度潜る。お腹が支えて通れないかと思ってドキドキした。
詳しく知りたい方は写真をネットで探すと良いです。おどろおどろしいよ!
そんな怨念を表紙にした田口ランディ初期の短編集だ。

『再会』
未練を持っていた男に声をかけられてベッドインする話なのだが、その別れていた間男女共色々な経験をしてきたわけで、となるとベッドも変わるわけでーーコミカルに書いていて非常に面白かった。入り口にぴったり。
『悲しい夢』
新潟の監禁事件が話題になった頃、中学生の女の子の間ではその監禁された女の子の視点で見る夢が流行っていた。主人公たちは声をかけてメールでその夢を見るという女の子を集め、みんなで泣く。悲しみは誰かが一緒に悲しんでくれることで減るのだろうか。
『アイシテル』
エイズの患者とセックスするというボランティアをしている女性の話。受け持っている男性が道すがら「死神」と間違えられた。話を聞いているとーー。愛情を求めるというのは、完成された関係にではなくて不完全な関係にというのが一番心に残る。
『夜桜』
離婚して田舎に帰ってきた女性が、小学校の満開の桜を見にふと足を向ける。そこで昔の同級生と偶然再会する。二人の女の別々な「人を好きになるときのエネルギー」が描かれていて、それを当然だと思ったり不思議だと思ったり、そんな違いが面白い。
『夜と月と波』
親友と呼べるぐらい仲のよい女性に、子供ができる。だから急いで結婚式もするという。主人公はそんな女性に惚れていたため、ショックを受けてふらふらと川を眺める。この短編集の中では一番メルヘンな話かもしれない。ラスト一行に至るまでの心理が短いながらよく書かれている。
『縁切り神社』
表紙で期待するようなオカルティックなことはなにも起きない。ただ、自分の名前が縁切りの絵馬に乗っていることを見てしまった女の話である。それが面白いのだ。
『世界中の男の子をお守りください』
べろんべろんに酔っ払って出会った男の子の部屋に泊まったときの、ちょっとほんわかする話。その男の子はまさしく「男の子」で、年上の女からすると庇護したい対象となる。それがこのタイトルの祈りなのだ。
『島の思い出』
屋久島の縄文杉を見に行くときに出会ったガイドとの、心の交流の話。全てを捨てる決心をして屋久島にいった女が、全てのしがらみがなくなったときにもう一度島に行く。そのとき何を思うか。それはありふれた感情なのかもしれない。
『どぜう、泣く』
10年も前に別れた恋人と、ネットのオフ会で再会した。当時の恋人のことは、いつも地下鉄に乗るたびに思い出していたのだったーー。最終的に、善意が人にトドメを刺すというのがいい。すごく面白かった。
『恋人たち』
結婚を目前に控えた女に、前の恋人から電話がかかってくる。内容もありふれた電話なのに、なぜかその電話で女は一大決心してしまう。男女の不思議だよなあ。
『エイプリルフールの女』
不倫相手の奥さんが死んだ。女にとって男とは一体なんだったのか。奥さんの葬儀に出席して女は「男を抱く」ということについて考える。この話好きだなあ。結婚とか子供とかが意識の外側にあるときに、それを目の前に突き出されて受け取れるか。そもそも本当に突き出されているのか。自分が首を伸ばしているだけじゃないのか。
『真実の死』
自分が陰気な女だと自覚している次女が主人公。長女の出産のため田舎に帰ってきたら、赤ちゃんは保育器の中でぐったりしていたーー。どんなに短い間でも、誰かと共に過ごしたことは無くならない。その事実は残っていくのだ。
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