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さくさく読める内容なのに諸事情で半年以上かかって読むことになってしまった。
法月のデビュー作である。
この作品にはこれ以降に登場する「名探偵:法月綸太郎」は登場せず、高校を舞台に生徒の一人が探偵役を買って出る密室ミステリものとなっている。
登場人物がどれも魅力的に描かれており、改稿を重ねた結果なのか青春群像劇としても読むことができる。それほどまで人間関係が複雑なのに、途切れ途切れで読んでも「ああ、このセクションの前はこういう流れだったな」と簡単に流れを思い出せるのがすごい。

梶川笙子が朝登校すると、教室のドアが開かなかった。
担任の大神(ネロと呼ばれている)がドアをこじあけ、そこに一人の男子生徒の遺体を発見する。
彼の名前は中町といい、なんと中町は”イスも机も何もない教室の真ん中”で、喉を裂かれて絶命していた。
教室の出入り口はガムテープで目張りをしてあり、窓のクレセント錠もかかっている。
完全な”なにもない”密室に、血まみれの遺体。
ミステリ小説好きの工藤はこの事件の探偵役を名乗り上げ、刑事の森、担任の大神、そして親友やちょっと好意を寄せている女生徒などとともに事件の推理を始める。
そしてこの事件には「自殺か他殺か」などという問題だけではなく、もっと別の闇が存在することに気づくのだった。

キャラ設定の妙か、工藤が嫌味なくストーリーを進めていくのに、最後まで「完璧超人」として書かないところが素晴らしい。人間誰しも心に抑えきれない衝動と暗がりを持っており、それはどのような形で発露するかわからない。
そこを書き切るのが筆力の見せ所である。
法月作品に珍しくこの作品は単体で完成しており、それが逆に読むものにとって印象を変える不思議な読後感を与える。
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