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有名なタイトルすぎていままでずっと「難しそうだ」と敬遠していたが、読んでみたら大変に面白かった。
まさか医学を絡めた人間の根源的な罪についての話だとは。

「私」が引っ越した先には、勝呂という医者が住んでいた。人を寄せ付けない雰囲気をまといながらも腕は確かで、「私」は興味を惹かれる。旅行先で、勝呂が過去犯罪に関わっていたことを知り、それを知っているぞと「私」は勝呂に匂わせる。
勝呂が犯罪に関わったのは医学生の時で、それは米国の捕虜を生体解剖したという”実験”だった。
人間はどの程度肺がなくなっても死なないのか。生理食塩水をどの程度注入すると死ぬのか。空気はどうか。
これらは戦争の真っ只中において非常に必要な情報だった。
特に肺の損失については、結核医である勝呂にとっても大事な情報ではあった。
勝呂は大部屋の患者に先生と慕われて、日々同じ研究生の戸田と仲良くやっている。
その戸田と自分の罪に対する考え方の違いや、人間性の違いなどを生体解剖という実際に起きた事件を元に鋭く描き出した作品。

なぜタイトルが『海と毒薬』なのだろう。
メインの舞台が福岡なので、海はなんとなく分かる。
しかし毒薬の方は、いくら医療モノだとは言え本文中には出てこない。かろうじて出てくるのは麻酔薬を安楽死のために使おうとするシーンのみだ。
これもタイトルを、原罪をメインに解いていくとなんとなく理解ができてくる。
生命の根源である海。全ての命はそこから生まれた。
死を連想させる毒薬。これは罪に対する罪悪感などを暗喩しているのではないだろうか。

ずっとなんでこのタイトルなんだろうと思っていたのが、ちょっと自分なりの解釈ができて嬉しい。
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