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今回の異形コレクションは「遊園地」がテーマだ。様々な幻想と夢を見せてくれる舞台装置である桃源郷を、どういう風に描くのかが気になっていた。


『香港の観覧車』林巧
香港のとある駅で途中下車した主人公は、観覧車へ乗せられる。それには知らない、だけど懐かしい男が同乗して、この観覧車の所以を話してくれる。そう、世界の観覧車、あなたが乗ったことのある観覧車は言ってしまえばたった”ひとつ”しかないのだ、とーー。
これを最初に持ってくるのがすごいな。ラストに持ってきてもいいような話なんだけれど、ラストは井上が書いてるからここしかないのかなー。

『よい子のくに』朱川湊人
主人公はいつのまにか遊園地に立っている。連れがいるようだが見覚えがない。だが、その連れと思わしき人々は自分をあだ名で呼び、いかにも親しげだ。全く記憶が蘇らないことを不思議に思いながらも、彼らと遊具で遊んでいると、突然記憶が戻りーー。
うーん、朱川は基本的に合わない体質なのだが(どんな体質だ)、今回もやっぱり合わなかった…無念。

『番人』飛鳥部勝則
息子と遊園地に来た父親。遊園地では成人式が同時に行われており、なんとも賑やかだ。回転木馬に乗りたいという息子のリクエストを聞いて乗り込むと、視界に西洋の甲冑が現れる。そして蹄の音が響きーー。メリーゴーランドの管理人に話を聞くと、「幽霊なんかは出ない」と突っぱねられる。それでも調べてやはり納得が行かず、管理人の話を聞くために夜に待ち伏せて、なんとか捕まえる。管理人の老人は、「話しても信じてもらえない」と言いながらも、自身の体験した恐ろしい話をし始める。
ラスト一行でゾクゾクっと恐怖という名の快感が走る展開に膝を打ってしまう。うーん、すごい。

『未来の廃墟』小中千昭
廃墟写真家と雑誌の編集が向かった遊園地の廃墟。写真をいまいち良く撮れないでいると、編集者は「こっちがいいんじゃないですか」と道案内をする。廃墟には慣れていないといっていたのに、これはどういうことだ? そう、編集者はこの遊園地に来たことがあるのだ。そして彼は自分の過去を話し始める。
小中は毎度ホラーというとワンパターンで読むのが苦痛だったのだが、この話は幻想的な雰囲気が素晴らしくて手放しで褒めてもいいぐらい完成度が高い。

『遊のビックリハウス』江坂遊
3つのショートショートを組み合わせたまさしくビックリハウスのような小説。個人的には「怪の部屋」の話がすごく好みでよかった。以下あらすじ。
信じられないほどのスリルと興奮を味合わせてくれる遊園地にハマった男がひとり。噂の特別会員になりたくて連日のように通い、アトラクションに何度もチャレンジし、それでも資格はもらえない。死に際それを医者に「これだけが心残りだ」と話すと、医者もその遊園地のことを絶賛し、さらに会員資格を得る方法を知っているというーー。

『見果てぬ夢』黒岩研
最近できた遊園地の人気アトラクションに、主人公は妻子とともに乗り込む。VRのような装置で、モンスターたちを次々に倒して時間以内にクリアすれば、フリーパスがもらえるという。息子のゲーム慣れしている頭脳に、妻の協力を得て彼はどんどんステージを進んでいくが……。
これはすごく好きな話だった。現実的にはまずあり得ないことはわかるのだが、(収容場所の関係とかね)今VRが話題の中、2004年にこれを書いているのはすごい。

『死の仮面』倉阪鬼一郎
灰色の仮面をつけた”誰か”が、いつもあなたを見ている。あなたは足を踏み外して、遊園地へと迷い込む。
これ以上のあらすじがかけない。二人称という珍しい形態で書かれている小説なのだが、残念ながら私には合わなかった。灰色の仮面の”誰か”が誰なのか、の謎だけ解ければいいかな、という感じ。

『使者』皆川博子
主人公の勤めている出版社に、「ぜひ自分の作品を読んで欲しい」という手紙が届く。明らかに誇大妄想の気が読み取れたが、主人公は「作品を送ってこい」と返事を出す。なぜなら、彼は以前友人の本を読んで一笑に付したら、その友人が偉大なる作家になった経験があった。一人でも多くの文人を排出したかったのだ。そして公園のボート乗り場で、船頭をしている青年が手紙の差出人だと気づく。青年を毎日見つめる日々が続くーー。
どうも読んでもなにも残らないというか、「これ遊園地っていうの無理があるよなー、頑張って遊具だよなー」という感じなのだが、昔のヨーロッパはボートが遊園地並みにスリルに溢れたところだったんだろうなあ。

『桜子さんがコロンダ』薄井ゆうじ
好きだった桜子さんが、コロンダ。それを受け入れ難かった主人公に、桜子さんから「ここで待っている」と地図が添付されたメールが来る。どこにいつ行けばいいのかわからない主人公は、何度も色々な場所にいってようやく桜子さんのいる場所へたどり着く。そこには亡くなった父親もいて、二人はニコニコと過ごしているのであった。
薄井ゆうじは『天使猫のいる部屋』が多大なインパクトだったので、いつか集めようと思っていた作家なのだが、この『桜子さん〜』もとても暖かい話で、軽い空虚感と付き合って人間は生きていかねばならないのだ、と思い知る。

『みずいろの十二階』速瀬れい
”あの”大文豪(というと個人的には語弊があると思うのだが)が主人公の作品である。彼が誰かはラストの一行で知れるのだが、それに至る舞台設定がゾクゾクするほど詩的だ。
浅草十二階にある「ルナ・パーク」の廃墟に、東京を離れる前に足を踏み入れた主人公。そこで美しい女性に声をかけられる。女性は自分のことを「弟かと思ったから」という。そしてその弟は、とても不思議な死に方をしていたのであった。

『少年と怪魔の駆ける遊園』芦辺拓
箱庭療法をしている心理カウンセラーが、少年の作る見事な箱庭に捕らえられて、少年の好きな小説の敵役である「怪魔博士」として少年少女探偵団に追われ、自身はこの箱庭に呼び込んだ少年を追いかける。
芦辺はなにを書いても昔懐かし探偵小説になるところが癖なのだが、それはそれでいいのではないのかな、という終わらせ方だった。

『在子(ねねこ)』木原浩勝
昔の移動遊園地には必ずあった見世物小屋。そこの一室に大きな水の入った甕があり、上にボールを吊るすと水の中から腕が伸びてくる。息継ぎなどをしている気配はない。不思議に思った主人公はその甕を覗き込んでしまいーー。
短編で読みやすいのだが、結局最後に不思議が残るのですとんと落ちてくる作品ではない。が、時代設定は好きだし、昔の思い出を語るという形式も良い。

『赤い木馬』加門七海
浅草が舞台の話。十二階の近くにある「ルナ・パアク」が舞台である。その名の通り月の公園ということで当時はかなりの人が集まったようだ。道行き拾った女の子をルナ・パアクに津れていくと、そこでリアリティとは懸け離れた幻影のような美しい光景を見せつけられてしまった物書きの運命やいかに。
自然主義から浪漫派へ物書きの世界が変容していく時代の話で、オチはともかく幻想的な描写が素晴らしかった。

『コドモポリス』牧野修
子供しか入れない遊園地。それがコドモポリス。それはギリギリまで追い詰められた人間しか入場が認められない遊園地であり、主人公の息子はそこへ行ってしまった。どんなに捜索をしてもビラをまいても一向に手がかりが手に入らないが、そんな日常に疲れているところにホームレスの男が「この子なら僕がコドモポリスの話をした子だよ」と語る。ギリギリまで追い詰められた人間しか入れないというのならば、自分にも入場資格があるはずだ。男はその入り口を探す。
残念ながら好みの話ではなかったのだが、ビニル茸というネーミングは即座にビジュアルが浮かぶのですごいなーと思った。

『迷楼鏡』立原透耶
なんと舞台は中国だ。初めて読む作家なのでドキドキしながら読んだのだが、語り部である老婆の話し言葉が少し気になる部分があり目がやや滑るものの、内容は素晴らしかった。
陳の皇女である主人公は、国を潰されその潰した国の皇帝に側室として迎え入れられる。寵愛を受けていることを思い知った彼女は、長い時間をかけて復讐をすることを決心する。それは寵愛されているという立場を利用し、運河を作り、楼閣を作り、気脈を乱し、皇帝を色狂いにし、国を滅ぼすという計画だった。

『ローズガーデン』佐藤嗣麻子
主人公は夢を自在に操ることができる。明晰夢のようなものである。ヤマネのように眠ることが好きで、その日も眠っているといつもと違う夢をみる。それは自分の夢ではなく、誰か他人の夢であった。そこには海と草原が広がり、遊園地がある。回転木馬の横で泣いている黒い人のようなものは一体誰なのか。
家族の絆を描く作品、といえば大げさかもしれないが、読後感が爽やかでとてもよかった。映像作家なだけあり、脳にダイレクトに映像が浮かんでくる文章だった。

『東山殿御庭』朝松健
遊園地というテーマと室町時代をどう取り合わせてくるか、と思っていたら、こうきたか…。
東山に屋敷と庭園を建てる工事の最中、幾人もの人夫が「あやかしを見た」と訴える。役人は「働きたくないからそんなことをいうのだ」と取り合わなかったが、役人自体が目撃者となってしまい、この騒動を収めなければならなくなってしまう。そこで、役人の上司は数々の寺に相談に行くと、「臨済宗のある僧侶を訪ねてくれ」とやんわり断られる。その僧侶とはトンチで名高い一休禅師であった。

『月夜の輪舞』石神茉莉
主人公の少女は、病院で勤務している母親と、母が夜勤の日には朝帰りをする父親を持っている。移動遊園地ができたと聞いていきたいと両親にせがむが、両親は連れて行ってはくれず、11歳なのだからとたった一人で遊園地へといってしまう。そこで闇をそのまま人にしたかのような男の人に手を引かれ、遊園地を案内される。彼は”ハーメルンの笛吹き”なのか?
とてもホラーとは思えないほど優しい結末で、読んでいて安心感がある。また、主人公が11歳という年齢のせいか文章自体も決して難しくなく読みやすかった。

『妖精の環』片理誠
天使のように美しい少年、レイは森の中でフェアリー・サークルを見つけ、妖精の国へ行く。そこは遊園地で、どこにも人の姿も妖精の姿もない。アトラクションに足を踏み入れると、そのアトラクションの妖精があらわれ、一緒に遊ぼうと声をかけてくる。レイは美しいことに誇りを持っていたので、同じく美しい妖精に心を奪われ、妖精の力を手に入れランスロット卿のようになりたいと日々願っていたため、力になってくれる妖精の吟味を始める。
妖精の国が遊園地、というアイデアはよいのだが、夜になったらどうなるかがやや透けて見えている展開でそこが少し惜しい。

『運命島』奥田哲也
人間消失の噂がある遊園地へと調査へ向かった探偵が主人公。高所恐怖症の彼は人間消失の拠点ともなっている観覧車、フリーフォール、ジェットコースターに挑まなければならないが、ジェットコースターだけでふらふらになり休憩を取る。何の気なしに入った売店で、売っている品物が拷問器具を模してあるのでは、という疑念がわいてくる。
アイデアが突飛で非常にワクワクしながら読めた。オチがやや弱いが、本編が十分にスリリングなのでこれはこれでいいのかもしれない。

『菊地秀行のニッケル・オデオン』菊地秀行
ショートショートを集めた作品だが、中でも「アナウンス」という作品が皮肉でとてもよい。きちっとオチが見え、さらに驚愕を残す作品は大変貴重なので嬉しい。

『楽園に還る』井上雅彦
ゴジラを思わせる巨大生物が主役の、一人称小説。歓声や悲鳴が音楽に聞こえる彼には、遊園地は”楽園”であった。死を目前にその楽園へと還るイメージが美しい。
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しっかり積ん読していた。存在すらほぼ忘れていたが、「異形コレクションまた集め始めようかなー」と思ってようやく読んだのだった。SFには馴染みが薄いが、ホラーテイストの味付けをしていることによってとても読みやすく、宇宙への思いを馳せることができた。


『火星ミミズ』江坂遊
超・短編という感じなのだが、これが最初に配置されているのがいい。次の作品へのワクワク感を高めていける。

『月に祈るもの』野尻抱介
異星人、宇宙生命体がなんと”化石”で登場する。これはあんまり登場パターンとしてはないんじゃないかな。(もしかしたら進化論にはあるかもしれない)祈りをささげるのは人間だけではない。それは信仰の対象というモチーフを超え、全生物に共通する憧憬である。

『アカシャの花』山下定
タイトルからほぼ想像していた通りの”花”である。ちょっとSFをかじったものならば一発で連想するだろう。めちゃくちゃ面白いってわけではないのだが、モチーフが美しく繊細で、ちょっと引き込まれる感じはある。

『黒洞虫』森下一仁
なんとここで早くも感動させてきた。ブラックホールに発生する虫がこの作品に登場する”宇宙生物”だ。とにかく読んだ方が伝わると思うので読んで欲しいのだが、何もかもなくした人間がなにかを肯定させると死んでも構わないほどに勇気を奮わせることができる、というのは本当に人間の真実だよなあ。

『緑の星』谷甲州
生命体、と言われて植物をメインに持ってくる人はそんなにいないのではないだろうか。そのモチーフ自体が奇妙だったので、ワクワクしながら最後まで読めた。しかししっかり植物が主役のホラーって作れるんだなあ。

『パートナー』森岡浩之
なんと性交が”変態趣味””特殊性癖”と捉えられている未来での、それを好む人々が集まる秘密クラブが舞台の話である。うーん、これがゾクゾクくる絶妙さで、予想通りのラストを迎えるのに、それがどこか一安心した気分になるのだ。愛玩用の生命体はファービーみたいなものを想像したんですけどあってますかね。

『言の実』岡本賢一
SFじゃなくて、アマゾンの奥地が舞台でも話に遜色なさそう。ナメクジみたいな生命体の背中になる実を食べることにより、ほぼ中毒状態になり背中に黒い腫瘍ができる。が、人類はそれを口にすることはもうやめられない。だからその”ナー”と呼ばれる生命体の主、”神ナー”の言葉を伝えられるという巫女に会いに行く。ナーの意思とは一体なんなのか。人類をどうしたいのか。これが単純な話なんだけど面白いんだなあ。

『一匹の奇妙な獣』山田正紀
ごめん…すごく難しかった…ちゃんと読めなかった…。アウシュビッツが舞台だったり戦争描写があったりと非常に硬派な物語なのだが、「長編にする予定の話の一部分」という説明にどうしても納得がいかず、意識がしっかりと読み取ってくれなかった。せっかくの書き下ろしアンソロジーなのだから、別の話でもよかったんじゃないかなあ。

『魅の谷』梶尾真治
しっかしカジシンは短編はうまいのになんで長編になると途端に…おっと失礼。オチがめちゃくちゃ見えている話の割にしっかり読ませられてしまった。”魅の谷”と呼ばれる場所に生息する生物、青とピンクの対の生物が男女に取り付くとその二人はどんなに嫌い合っていても心から愛し合ってしまうーーうーん、やっぱこの話、最初の数ページでオチが読めません? いや面白かったんですけどね。

『夜を駆けるものたち』大場惑
この話のうまいところは、出てくる生物が「宇宙人」「エイリアン」ではなく、あくまで動物というところ。そして、舞台の惑星には昼の部分と夜の部分があり、生物は”夜明け”の部分をひたすら走りながら生きているというところだ。主人公がヤクザってのも面白いが、儲けのためにいやいやツアーを敢行している彼が、とある参加者に心を寄せていく(恋愛ではない)という部分がヒューマニズムって感じで素晴らしい。人間も捨てたもんじゃないな。

『破滅の惑星』石田一
これめっちゃ好き。人間が移住できる星を求めて宇宙船を出向させ、調査してそこに文明があったことを知るーーまあなんてことない舞台設定なのだが、それが絶妙に生きるキャラの背景を持ってきて、オチが簡潔で分かりやすい。落語を聞いたような感覚になる。

『三人』田中啓文
ジロウ、イヴ、マリア。宇宙船に同乗している乗組員3人である。この3人の視点が切り替わり話が進んで行く。精液を集めてホムンクルスを作るために1日6回のオナニーをするジロウ。イヴと付き合っていてマリアのことが嫌い。自殺マニアのイヴ。霊感があると言い張り、手首を何度も切り、実はマリアのことを思っている。ジロウのことを独占していることに優越感を持っている。マリアは性欲がやや強く、何度もジロウをベッドに誘っている。それは乗組員で男がジロウだけだからだが、彼女は過去スターだったことを誇りに思っていてジグソーパズルが趣味。これがドロドロのホラーになるのだから、「宇宙生命体」という異物はすごい。

『宇宙麺』とり・みき
このアンソロ唯一の漫画である。ラーメンに扮した宇宙生命体が地球(もちろんラーメン大好き日本を中心に)を大パニックに陥れ、街中からラーメン屋が消え、人々はカップ麺しか味わえなくなってしまう。が、実は宇宙麺は乾燥麺に化けることもでき…。二重に用意されたオチが思わず忍び笑いをしてしまうほど綺麗にまとまっている。

『話してはいけない』ひかわ玲子
SF関係なくこれはホラーでしょう。狙っている女性と仲の良い、幼馴染だという男性から聞かされる「話しちゃいけないんだけど…」としつこいぐらい前置きをされて語られるにわかには信じがたい話。それが高位生命体によるいたずらなのか、粛清なのか。話してはいけない、と言われると話してしまいたくなるものである人間の心理を上手に描いている。

『古いアパート』竹河聖
王道ホラーという感じの作品。新築のマンションに住んでいるオールド・ミスが主人公で、隣のアパートになぜか好意を持っている。そこには誰かが住んでいるという気配もなく、彼女は住人に会ったこともない。が、窓から覗く顔を目撃して、手土産を持って侵入すると…。うーん、アブダクションものは王道なのだけれど、ちょっとホラーよりすぎるかなという感じもする。

『バルンガの日』五代ゆう
特撮には詳しくないが、バルンガといえばウルトラ怪獣とわかる程度には有名だ。そしてそれを堂々タイトルに持ってきているところにも好感が持てる。バルンガの胞子に影響を受けない主人公の、皮肉にねじれた愛情表現が非常に美しく、これはバルンガという怪獣をモチーフにしていなければできない芸当だなと感嘆。

『懐かしい、あの時代』友成純一
なんと昭和を代表する学生の安保運動を宇宙と絡めてきた。面白い。非常に面白い。主人公の設定がいいというより、持って来た時代背景がうまい。

『占い天使』笹山量子
この主人公の「平凡な日常で万事オッケー、突出したことなんて全く歓迎しない」って感じの生き方が最高である。宇宙人が部屋に勝手に居座っているのに平気で録画していたドラマを見ながら弁当を食べ、ビールを飲み、人類の存亡をかけた戦いをじゃんけんで決定してしまうとは! これは読むべき作品だ。

『内部の異者』かんべむさし
この作品、どうも私に合わなかったのではないかと思う。目が滑ってしょうがなかった。読み進めようとしてもはかがいかないのだ。昭和の懐かしいテイストに合わせて異星人との戦闘を描くというアイデアはいいのだが、硬質な文章がかえって読みにくさを倍増させてしまっている。惜しい。

『来訪者』横田順彌
今度は古き良き明治大正昭和時代のカストリな時代背景に、小説家の客として現れた異星人という設定。読みやすく、このシリーズを集めたくなった。

『探検』井上雅彦
このシリーズ唯一の欠点は、監修者である井上の文章が毎度弱いところにあると思う。いかにも他の作者を突出させるための平凡な、無難なつくり。特筆するべき部分が何もなく、ちょっとがっかりする。が、意識を消しゴムにのりうつらせるというアイデアは非常に面白かった。

『安住氏への手紙』菊地秀行
いやー感服しました。舞台が遠野というのもいい。妖怪の聖地、つまり最高にアナクロな場所に宇宙センターができるというのも巧みだなと思うし、女の執念をこれでもかと書いている。手紙の文面が慎ましやかでお淑やかなのがまた恐怖を倍増させる。

『時間虫』堀晃
大変にバカバカしい内容なのだが、きちんとホラーになっているところがうまい。舞台設定も上手で、SFである必要をきちんと感じさせてくれる。時間を逆行させる虫。それとたった一人で戦う男の話なのに、どこかコミカルで面白い。

『キガテア』眉村卓
ラストにこの話を持ってくるという手法が見事だ。キガテアと呼ばれるまるで愛玩用に作られたかのような生物を、駐屯部隊の人間は本部へ送る。そしてその愛らしさに「もっと送れ」と要請がどんどんくる。キガテンという星の調査を進めていた駐屯部隊ではその時、異変が起こり始めていた…。人類の業とぞっとするような締めくくりに思わず拍手。



異形コレクションとしては余り出来は良くない気がする。



◯蒼の章◯
『月光荘』安土萌
入り口にぴったりの軽い狂気。

『プレイルーム』倉阪鬼一郎
どうとでもとれる終わり方だな。

『死んでもごめん』若竹七海
わかりやすい。

『銀の潮満ちて……』松尾未来
面白さが解らない。

『月見れば――』草上仁
この発想はなかったわ。

『月盈ちる夜を』篠田真由美
幻想的で良かった。

『ぶれた月』岬兄悟
この設定は怖い。

『killing MOON』ヒロモト森一
漫画。長編も読みたい。

◯銀の章◯
『月の上の小さな魔女』青山智樹
オチが弱い。

『地球食』堀晃
小さなミスが大きな失敗を招く。

『六番目の貴公子』梶尾真治
カジシンの中で一番好きだ。なんと言う冒険活劇。

『落葉舞』横田順彌
運びが凄い。

『月夢』岡本賢一
とても悲しくなる終わりだった。

『シズカの海』北野勇作
間違いなくこのアンソロジーの中で一番の完成度。これだけで良いから読んで欲しい。
人間は誰しも自分の海を持っている。それは脳の中の記憶を保管する場所であり、そこでは様々な平行世界すら存在出来るのだ。

『蜜月の法』牧野修
雰囲気もの。とにかく狂った文章を書いているのは解るのだが、釈然としない。

『月光よ』眉村卓
哲学もの。自己解決する自問自答。

◯皎の章◯
『穴』高橋葉介
この世界は誰かの悪夢である。

『飛鏡の蠱』朝松健
相変わらずこの人の時代物はワクワクする。

『月はオレンジ色』霜島ケイ
こういう背景を持ってくるか。

『影女』南條竹則
馬鹿に明るい妖怪話。

『シャクティ<女性力>』大原まり子
コミカルでさらっと読める怖くないホラー。

『掬月―つきをすくう―』竹河聖
風邪のせいか内容のせいか気分が悪くなった。

『石の碑文―[kwaidan]拾遺―』加門七海
締めが素晴らしい。

『欠損』菊池秀行
こういう小説はロマンチックが鼻について好きじゃない。

『知らないアラベスク』井上雅彦
最後にふさわしいというべきか。


全体的に変身ものが多く、一風変わった設定を好む人間は読んでいて面白くないかもしれない。私は月に対する憧れを描くものが好きなので、いまいち入り込めなかった。



グランドホテル、ということであるホテルを軸にした怪奇。


『ぶつかった女』新津きよみ
設定がトンデモだけれどその分予想がつかなくて面白かった。
一番に持ってきて正解な短編。

『探偵と怪人のいるホテル』芦辺 拓
今こんな古風な探偵ものが書ける人は少ないんじゃないか。ホラーというよりコメディだ。

『三階特別室』篠田真由実
白鷺の本性についての記述が短くて良く分からない。

『鳥の囁く夜』奥田哲也
滑稽なホラー。タイトルの大仰さき期待したのだがコメディだった。

『To・o・ru』五代ゆう
ありがちな設定だけれど終わり方が良い。

『逃げようとして』山田正紀
嫌いではないけれど、ラストはもっと短くしてインパクトを残した方が良かった。

『深夜の食欲』恩田陸
結末を書かない終わり方は好きだ。

『チェンジング・パートナー』森真沙子
元のホテルに対する設定があまり意味がない気がする。

『Strangers』村山潤一
語られる忠告。

『厭な扉』京極夏彦
無限ループって厭じゃね?

『新鮮なニグ・ジュギペ・グァ・のソテー。キウイソース掛け』田中 啓文
これは面白かった。人間の三大欲求を元にした話は大好き。

『ヴァレンタイン・ミュージック』難波弘之
実話ってのが凄い。

『冬の織姫』田中文雄
ラストがありきたりだけれど、フロント係の視点が面白い。

『雪夫人』倉阪鬼一郎
短い怪談は好きだ。

『一目惚れ』飯野文彦
ものすごく気持ち悪くていい。でもオチにインパクトが欲しかった。

『シンデレラのチーズ』斎藤肇
鬼の種明かしに感心した。

『うらホテル』本間祐
面白さがわからない。

『運命の花』榊原史保美
メリゴ思い出した。

『螺旋階段』北野勇作
この発想はなかったわ。

『貴賓室の婦人』竹河聖
読みやすかった。

『水牛群』津原泰水
このシリーズ読みたい。

『指ごこち』菊地秀行
こういう事もあるかも知れない。

『チェックアウト』井上雅彦
一本の濃密な映画を観た後のような錯覚。



『ヴェネツィアの恋人』高野史緒
ロマンチックなすれ違い。

『デッサンが狂っている』飛鳥部勝則
普通に気持ち悪い。

『孕み画』森真沙子
着眼点は素晴らしいのですけれど話が…。

『シーボーン』加門七海
強引だけど面白かった。

『黙の家』折原一
レトリックものだって解ってたのに騙されて超ショック。すげえ。

『木漏れ陽のミューズ』田中文雄
幻想的ですね。

『約翰の切首』速瀬れい
これ凄く好き。

『怪人明智文代』大槻ケンヂ
バカ小説…。でもまあ文章が変わって無くて嬉しい。

『天然の魔、人造の美』谷敦志
もっとでっかい写真で見たかった。

『ドリアン・グレイの画仙女』吉川良太郎
伏線の張り方がバレバレだったけれど面白かった。

『オペラントの肖像』平山夢明
こんな世界はイヤだ。

『怪物画趣味』有栖川有栖
SFだ。

『死者の日』牧野修
ホラーってこうあるべきだ!

『瓶』竹河聖
仙海老人の事件簿シリーズ、結構面白い。

『輝風、戻る能わず』朝松健
剣術ってアート?

『筆致』菊地秀行
これスゴイ。面白いとかじゃなくてスゴイ。

『命々鳥』佐々木ゆう
生理的にキモチワルイ。

『新しい朝』間瀬純子
タイトルが…。



当たりとハズレと両極端でした。つかずーっと気になってるんだけど、序文のあり得ない仮名の振り方なんとかならないのかなあ。読み辛いんだよね。癖とか味とか言われればそれまでなんだけど、アンソロジーだから新規読者の事と継続して読んでくれる人の事両方考えてもっと解りやすく書いて欲しい。
毎回一番はじめにげんなりするとか、最悪。



全体的に「妖女」と被ってる感じもする。


『テレパス』中井紀夫
男は身勝手で女は怖い。

『女切り』加門七海
まあ、怪談。

『逃げ水姫』早見裕司
モチーフは面白かった。

『地下のマドンナ』朝松健
オチが解りやすいなあ。

『ニューヨークの休日』森真沙子
展開が唐突だと思うんですが。

『怪魚が行く』田中文雄
なんだかなあ。

『老年』倉阪鬼一郎
これ多分この中で一番上手い。

『赤とグリーンの夜』井上雅彦
途中で説明不足の部分があるけど面白い。

『スマイリング・ワイン』奥田哲也
強引な展開でちょっと引いた。

『猫女』竹河聖
読んで半分も行かないウチにオチが解るのは怖くない。

『アドレス不明』友成純一
オチはもう最悪だけど夢の内容が怖い。

『REMISS[リミス]』久美沙織
ファンタジーだなあ。つか兄が怖いって。

『加害妄想』高井信
あー、あるある。(ねえよ)

『太陽に恋する布団たち』岡崎弘明
こういう話は大好き。

『東京悲恋奇譚』飯野文彦
えーっと、童貞は素晴らしいってこと?

『人殺しでもかまわない』矢島存美
ありがちだなあ。

『約束』津原泰水
解り辛い!ラスト一行に怨念が。

『砂嵐』皆川博子
最高につまらなかったです。

『貢ぎもの』菊地秀行
女の正体がわからないとなあ。


異形の愛自体はリアルにごろごろしてるんで、はっきり言って途中で飽きます。今やればもっと良い作品が集まりそうだけれども。



まあテーマがテーマだけに後半飽きますよこれ。
それでも良ければ読めばいい。オススメはしない。


『燃える電話』草上仁
これ一番最初に持ってきたのは正解。短いけど凄くツボだった。

『緊急連絡網』新津きよみ
なんか新津の作品が私向いてないんだと思う。

『遅すぎる事はない』井上雅彦
や、遅いだろう。イマイチです。

『十一台の携帯電話』中井紀夫
会話文で進んでいくんだけれど、これはスイスイ読めた。

『Communikation Break Down』安土萌
これいい。ゾクっとする。

『異界網』山下定
ありがちですな。

『若狭殿耳始末』朝松健
こういうヒネリは好きだなあ。

『よくある出来事』浅暮三文
よくはないから!これ怖い。

『脂肪遊戯』桜庭一樹
ラノベだなあ。心の闇。

『それでもおまえは俺のハニー』 平山夢明
乱雑だけれど愛しい文章だ。

『よなかのでんわ』三津田信三
ありふれてるかなあ。

『美少女復活』森奈津子
これアニメっぽい。

『龍陳伯著「秘伝・バリツ式携帯護身道」』大槻ケンヂ
やー爆笑。これいいです。オーケン本当やる気のないシャーロキアンだよね。

『ライター』森真沙子
ショートストーリーだからかラストか唐突。

『カオルちゃんの糸電話』梶尾真治
この話は結構好きかなあ。

『嫁ぐ娘へ』菊地秀行
期待しすぎた。つまらん。

『ジャンヌからの電話』間瀬純子
切ない狂気だなあ。

『三尸虫』佐々木ゆう
タイトルで期待しすぎた。

『遣り直し』丸川雄一
これは上手。


途中でオーケンのバカ話が入ってくれて助かりました。私も折り畳み式携帯欲しいなあw



写真で惹かれてついつい購入リストに掲載してしまった作品。


『海と雨と「理解者」』三川祐
オチが素敵すぎます。綺麗なオチだなあ。

『最後の礼拝』福澤徹三
タイトルとの繋がりが良く解りません。

『まあこ』沖方丁
これ凄い怖い!ツボでした。ゾクゾクしっぱなし。

『秘密』小沢彰友
コレも好きだなあ。ネタもモチーフも素敵です。

『フニクラ』奥田哲也
モチーフと着眼点は好きなんだけど、陶酔してる文章についていけない。

『十九番目の聖痕』小中千昭
小中のモチーフって必ずどっか似てて飽きるんだよね。

『拾った女』大石圭
読みやすくて良かった。でも江戸川乱歩の虫を思い出したなあ。

『アイドル』大槻ケンヂ
オーケンらしいね。演技性人格障害とかお前そのまんまじゃねえか、と。

『余所の人』早見裕司
排他的って事で沖縄なの?

『右時、三たび負心して活捉せらるること』立原透耶
愚かしい。

『奇跡の少女』新津きよみ
もう初っぱなからオチが読めてイマイチでした。

『通り魔の夜』中井紀夫
これ地味に怖いです。

『時の通り路』速瀬れい
ちょっと鏡花っぽいなあと思ったけど全然違った。

『I See Nobody On the road.』石神茉莉
オチが不明瞭です。もっとハッキリ書いて欲しかった。

『木曽の褥』朝松健
わかりやすくて良いです。

『二流』菊地秀行
正に妖女だよ、どっちもね。

『闇の種族』井上雅彦
悪の華である。

『墨円』加門七海
どっちもこんな女にはなりたく無いなあ。

『梅雨明け鴉』中尾寛
富江みたいだ。


全体として、まあ怖い作品がそろってるってかんじです。突出した恐怖はあまり感じない。でもお気に入りの話が入ってるので評価は高めにします。



異形コレクションが出ていたのは知っていたんですが、表紙が目を引いたのでこれを購入。多分集めると思います。


『神の右手』藤崎慎吾
凄く解りやすい。1作目に持ってきた意図が解る。

『獣舟・魚舟』上田早夕里
設定からして素晴らしい。ラストが綺麗に纏まりすぎな気もするけれども短編だから許す。

『罠の前でひざまずいて』西崎憲
オチがあっさりしすぎていてもうちょっとだけ捻ってほしかった。

『量子感染』平谷美樹
目線の付け所が違う。退化とは進化の一つであると実感。

『娘の望み』八杉将司
オチが読めてしまったけれど、それでも感動した。

『うしろへむかって』井上雅彦
一番つまらなかったかな・・・や、二番目につまらなかった。

『バード・オブ・プレイ』多岐亡羊
シリーズ物。凄いテンポが良くて他の作品も読みたくなった。

『希望的な怪物』小中千昭
小中・・・よっぽど稀人に思い入れが・・・。

『読むべからず』飛鳥部勝則
これがグロイアニメーションになったら面白いだろうなあ。無理か。

『ランチュウの誕生』牧野修
これはもう、最高でした。モチーフも大好き。

『この島にて
』朝松健
唯一の時代物。テンポ良くて読みやすい。

『書木婁飯店』青柳晋
変換出てこなかった。紙魚というモチーフは私もとても心惹かれるのだけれど、これは本当に負けました。素晴らしいです。

『貂の女王、万年城を攻略す』谷口裕貴
やっぱり出てこない漢字・・・。獣人物でファンタジーっぽい。

『個体発生は系統発生を繰り返す』竹本健治
竹本大好きだ!!!彼の少年モノは素晴らしい。
でも通読しないと解らないかも。

『ヤープ』平山夢明
哀切だなあ。でもタイトルがアレを連想させる。

『楽園の杭』野尻抱介
痛烈な進化に対しての皮肉。

『逆行進化』堀晃
イマイチかなあ。

『おもかげレガシー』梶尾真治
エマノンシリーズを読みたくなった。



全てを通して、まず江本創の写真が素晴らしい。
だが、今回のテーマとこの一致しているようでイマイチしっくりとこないところが狙っている部分なのだろう。
全てを通して言える事は、SFとはホラーではなく幻惑である。
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