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以前購入した後、「これは多くの人に読んでもらいたい!」という謎の使命感に駆られて高校の図書室に寄贈した思い出の一冊である。たまたま安価でもう一度手に入ったので読み返してみた。

所田という男が建売住宅の建設現場で殺された。彼はその前に殺されていた女性と不倫関係にあった。
捜査線上に浮かんできたのは女性の同級生のA子。女性に彼氏を取られた過去があるそうだ。
所田にはマイホーム・パパの他にふたつの顔があった。ひとつは若い子と遊ぶ浮気性の夫の顔。
もうひとつはネット上での疑似家族の”お父さん”。
娘の一美は父親の疑似家族に面通しをすることになる。
この殺人事件に隠された真の動機とはなんなのか。

宮部の最高傑作のひとつである。
代表作「模倣犯」の武上刑事、「クロスファイア」の石津刑事が共演する怪作。
じりじりと追い詰めていくその手際が素晴らしい。
ぜひ一読を。そして気に入ったら「模倣犯」と「クロスファイア」も。
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宮部の短編と中編を集めた小説。
どの作品もSFの要素が入っている。

「とり残されて」
表題作。小学校の養護教諭をしている主人公は、昼間の学校で男の子の幻を見る。
その男の子に導かれて向かったプールで、女性の遺体を発見。
学校が騒然とする中、とある警官が彼女を訪ねてくる。
「夢であなたに会ったことがある」。
男の子は何をしたいのか。警官はなにを話し出すのか。
主人公の心理の移り変わりと現実世界で起こる「殺人」の織りなす鮮やかな世界。

「おたすけぶち」
10年前に兄を事故で亡くした主人公は、事故現場へやってくる。
そこは「おたすけぶち」と呼ばれるカーブで、事故が起こりやすい場所だった。
そこですれ違う美しい女に、主人公は不吉の影を見る。
「こうきたか!」と思わせるストーリーと、それをしっかり見せてくれる筆力が素晴らしい。

「私の死んだ後に」
野球選手の主人公は二軍に落ちた後しばらく野球そのものから離れていた。
右腕が上がらないのだ。
投げられない、とやさぐれているうちに、街角で暴漢に刺されてしまう。
生と死の淵をさまよっている最中に彼を案内してくれたのは、見知らぬ女性だった。
舞台設定の妙というやつだ。右腕が上がらない原因もきちんと説明してくれて、ラストの清々しさは心に迫る。

「居合わせた男」
会社を経営している主人公は、出張先の長野から帰る最中に二人連れの女の子に話しかけられる。
その二人の話している内容が奇妙で、自分たちの勤め先の社員が会社から飛び降り自殺したというのだ。
経営者としてその話に興味を持った主人公は内容を突っ込んで聞くが、「彼は昔自分がいじめていた社員の幽霊をみて死んだ」という不思議な事実を聞かされる。
短編だからこそのスパッとした切り口がすごい。なかなか自殺の動機付けも安楽椅子探偵ものとしては良い。

「囁く」
幼馴染の女性と喫茶店で会話している主人公。
社内報のコラム用にネタを仕入れようと会ったのだが、そこで話された内容は「銀行の役員がお札のささやきに負けてお金を持ち出してしまった」という内容だった。
それは社内報に合わない、と反論している最中に、一人の男が話しかけてくる。
「私の知人と全く同じ症状なのです」と。
短く終わっているからこそ「うまい!」と言わせられてしまう作品。

「いつも二人で」
相原真琴は5人兄弟の末っ子。知り合いの家の留守番をしている最中に、幽霊に取り憑かれてしまう。
その幽霊と言ったら、なんと「働きたい」と言いだすではないか。
少しの期間だけ、と約束して真琴は生まれて初めての女装をすることになる。
彼女の本当の目的とはなんなのか?
ラストシーンが美しい作品。ほろ苦い初恋のようだった。

「たった一人」
主人公は毎晩見る夢がある。
それを見ることにより、自分が何か大切な約束を果たさねばならないような気持になる。
たまらず、前に見かけたことのある男性のいる「調査事務所」に足を向け、「夢の場所が実在するのか」を探って欲しいと依頼する。
その夢に登場するものと、探偵の昔の記憶が入り混じりーー。
SFと放り投げてしまうことはたやすいが、一人の女性の執念を見た気がして読んだときは少しぞっとしてしまった。
言わずもがな展開と舞台設定がうまいのだ。これ一本だけでも読む価値がある、と解説に書いてあるとおりだ。



主人公の八木沢順は、刑事の父親道雄と新しく隅田川と荒川に挟まれた東京の下町で新生活を始める。
母は再婚して身近にいないので、家政婦を雇っている。高齢だがしっかり仕事をするハナさんだ。
生活も落ち着いてきた頃、町で妙な噂が立っていることを知る。
「老人の住む一軒家に入っていった女性が帰ってこない。そこで殺されているのではないか」
その老人とは、画壇の風雲児篠田東吾。
妙な噂で困っていると町内会長に怒鳴り込みにきたこともあるらしい。
そして、川に流されているバラバラ死体発見の一報が道雄に入る。
捜査を進めるうちに、挑戦状が警察に届く。
それは第二の死体のありかをしめしていた。
同時に、とてもよく似た字で順の家に誰かが手紙を投函する。
「しのだ とうご は ひとごろし」。
この手紙は事件に関係のあるものなのか、それとも誰かのいたずらなのか。
順は警察の許可をもらって、友人と密かに捜査を始める。

いやあ面白かった。
しっかりとしたプロットとそれに肉付けされるキャラクターの表情が見えてくるようだ。
特に家政婦のハナのキャラクターが最高だ。
度を過ぎるほどの丁寧な言葉で順を「ぼっちゃま」と呼び、シャキシャキと働いてなおかつ謎解きのお手伝いまでしてしまうのだ。
篠田のキャラも素晴らしい。
続きがあるようなので楽しみだ。



現実は想像より遥かに飛躍しているものだ。
寺山修司の言葉に「どんな鳥も想像力より高くは飛べない」というものがある。
この小説の中で描かれる「現実」は、実際の事件よりも遥かに毒を含んでおり、読んでいて胸に迫るものがある。

今多コンツェルンのグループ会社に勤めている杉村は、コンツェルンの娘婿だ。
仕事は雑誌編集(といっても社内報)。
義父との関係は概ね良好で、可愛い妻と娘がいる。
婿といってもマスオさん形式で、グループの継承権があるわけではない。
が、世間は彼をそうはみてくれない。それが孤独であり、それでもしょうがないと思ってしまう。
そんな義父(今多コンツェルン会長)が、杉村に頼みがあるという。
それは先日自転車に轢かれて死亡した会長直属の運転手の娘たちが、自分の父についての本を出したいという話だった。
姉は聡美、妹は梨子。姉は物静かな美人で、梨子は快活な可愛い子だ。
しかしその相談の日、妹を先に帰して二人で話したいことがあると聡美は言う。
そこで杉村は聡美に「父の過去について書いた本を出したくない」という旨のことを言われる。
そしてそれは聡美のトラウマになっているある出来事と結びついているのだった。

タイトルの「誰か」という言葉は、序盤では全く出てこないしどういう意味なのかも掴めない。
しかし絡み合う謎とそれを丁寧に解きほぐしていく取材(捜査ではなく取材なのだ)により、その「誰か」は徐々に輪郭を浮かび上がらせる。
そこでの一捻りがうまい。
宮部の「模倣犯」の後の作品ということで、なるほどこの筆力はその頃のものだったのかと納得してしまった。
古本屋で売られていたら買いだ。正直名作の「火車」と同じぐらい気に入ってしまった。



ドリームバスターで宮部が良質のファンタジー書きだということは解っていたけれど、まさかここまでとは!
映画も観たいけれどどの位端折られてるのか気になる。何てたって成長物語なんだから肝心な部分がなくちゃ意味が伝わらない。かといって世界観をきちんと説明しないのも…踏ん切りがつきませんな。やっぱり原作が一番良いって事でしょうか。(せめて三部作にすれば良かったのに)

解りやすいファンタジー世界観に魅力的なキャラクタ達。魔法も勇気も活き活きと描かれている。
初めはイマイチ読み辛かったけれど、ミツルが出てきたあたりからどんどん頁を捲るスピードがあがった。

久々に良質のファンタジーを読みました。
入り込むと涙すら出てきますよ。



オチはもう凄い簡単に読めちゃったんだけれど、展開が面白い。

持ち主の財布の視点で話が進んでいくの!

確かに犯罪とお金は切っても切れないものね。でもそれだけじゃない。



ただ一言ネタバレ。
模倣犯じゃん。



綺麗に纏まっている小説を読みたいときに開く。
ミステリじゃないよ、これは推理小説です。
突如姿を消した婚約者を探してくれと親戚に依頼された休職中の刑事。
その女性はなんと自分の身分をずっと詐称していた。
それも巧妙に、何処にも痕跡を残さず・・・。

時間を忘れて読むのにはピッタリな一冊。
ラストまでの展開がまるでパズルを嵌めていくかのような楽しさがり、決して飽きさせない。
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