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カンナシリーズ、今回は甲斐が婚約者の聡美と鎌倉へ赴く。鎌倉といえばQEDでも取り上げられていたが、なんとも騙りの多い地である。風光明媚な観光名所、という現代のイメージから遠く離れ、幕府が開かれた頃の鎌倉というのは三方が切り立った山で、海側には湿地帯が広がり、とてもではないが普通の神経ならばそこで腰を落ち着けようと思える場所ではなかったという。しかも「鎌倉党」と呼ばれる、身分の低いものたちも跋扈していた。

お茶会へ出席しようと甲斐と聡美はつれ立つのだが、そこに、別の人物から招待を受けたという貴湖と竜之介、もちろんほうろくも現れる。そうしてメンバーが出揃った矢先、教室の主人が何者かに刺殺されてしまう。戸惑ったメンバーだが、それを追うかのように主人の息子も服毒死してしまう。

カンナシリーズは歴史の謎もあっさりとして書かれているが(QEDシリーズとは視点が違うのでそれもまた面白い)、現実の事件も推理しようとすればきちんと説明できる事件でわかりやすく、若い人にはこちらのシリーズの方が好まれるのかもしれない。私としては鎌倉三代の源氏の謎が追えるだけで満足である。
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社伝を持って逐電してしまった早乙女諒司の足取りを追って鴨志田甲斐たち三人と一匹が今回訪れるのは、天照大神や天手力男命を祀っていることで有名な戸隠だ。
戸隠といえば忍術や修験で有名であり、何よりも能の題目「紅葉狩り」でその名を知られている。
甲斐たちは山中、竜之介の運転する車が故障してしまい、霧の中ようやくたどり着いた神社で殺傷事件を目撃してしまう。その犯人を追ってからくり屋敷のようになっている社務所の抜け道から山の中腹へ出ると、そこには彼らを取り囲む四、五人の気配があった。
戸隠を「とがくし」と読むのはどうも普通のようなのだが、昔の少年少女漫画の影響か私は未だに「とがくれ」と読んでしまう。その間違いをただしながらページをめくると、鬼女・紅葉の真相や、昔からの祭神・九頭龍の真実にぶちあたる。さらに天照大神の謎にも迫っているのだから、大変に勉強になる一冊だった。この巻では解説でなく、高田本人のあとがきが載っているのも嬉しい。



今回のQEDシリーズの舞台は和歌山。メインテーマは天皇家に伝わる「三種の神器」だ。
残念ながらこの一冊前の熊野残照を持っていないのでタタルと奈々の旅がどんなものかは想像するしかないのだが、高田の作品で初登場となる御名形史紋が脇を固め、非常にワクワクしながら読める作品となっている。

薬剤師の旅行で熊野・和歌山を訪れたタタルと奈々。同じく薬剤師の神山禮子と共に行動するが、禮子が体調を崩して和歌山にもう一泊することになる。そしてなんとタタルは初めからもう一泊する予定だったという。
首と右手首が切り取られた死体が発見された事件を追ってやってきた小松崎と沙織と合流し、三種の神器についてのタタルの蘊蓄をききながら事件を推理していく。そして出会った「毒草師」という肩書きを持つ御名形史紋ーー。まるでタタルを無口にしたかの様な対照さと、事件の謎解き、そして死体の意味とは?

なんとこの作品、事件も解決していよいよ和歌山を発つ、という時になって”袋とじ”になっている。
タタルの蘊蓄を知りたい人だけ読めばいいって感じで、いっそ潔い。
私? 面白かったですよ蘊蓄。



自分たちの祖先、といえばどのくらい先まで思い起こせるものだろうか。まあうちの場合は「先祖代々農民だったらしいよ」程度だろう。それ以前の「先祖」については誰も思いを巡らさない。うちは実家が秋田県なので間違いなく先祖は蝦夷なのに、誰もそのことには触れない。タブーの様なものだ。
カンナシリーズ4冊目のこの『奥州の覇者』は、蝦夷の長であった阿弖流為とそれを討伐した坂野上田村麿にスポットがあたる。高田の書く歴史シリーズらしく、もちろん朝廷側の歴史は後ほど疑問でひっくり返され、本来の「正史」を残していくべきだ、という話になる。
主人公の鴨志田甲斐が、ようやく疾走していた早乙女諒司と再開する。諒司は持って逃げていた社伝を修験者に盗まれた、と、甲斐に応援を要請する。そして知る、早乙女家の秘密。そして諒司の真の目的とはーー。
数々の謎が交錯する中、舞台が奥州というのがいい。他の場所では再会にふさわしくなかったのでは、と思えてしまうのである。その理由は本書を読めばわかるはずだ。



カンナシリーズ3冊目の本作は、早乙女諒司がいるという旅の目的地は吉野。古くは役小角が開き、空海の手により認められ、秀吉が花見をしたことで有名な土地だ。
今回起きる殺人事件は、解説でも触れられているようにQEDシリーズの様に重厚な「歴史のミステリーと現代のミステリーが交錯する」などというものではなく、実にあっさりとしたものである。
カンナシリーズの重きを置いている部分は、甲斐たちが探訪する場所の「歴史の謎を解く」甲斐たち「忍者のルーツを知る」そして彼らの活躍だ。決して派手ではないが、タタルたちの様な鮮やかな推理を求めて読むシリーズではない。
山伏という修験者たちには非常に興味があったので、彼らの存在意義というものを知れた気がして楽しい。
問題は作中で何度も貴湖たちが言っている「歴史は覚えるものでなくて考えるもの」というのが、高田の作品を読む限りでは目から鱗すぎて自分の考えを挟む余地がないことなのだが。
甲斐のこれからの成長を思わせる片鱗が見えて楽しい一冊だ。



忍者の末裔で神職の青年、鴨志田甲斐を主人公に描かれる歴史伝奇ロマンミステリシリーズの第二弾だ。
今回は行方不明の早乙女諒司を追って熊本、そして天草へと足を伸ばす。諒司の娘、澪に「十字架に気をつけて」とひきつめいた予言を賜ってーー。そして天草といえば天草四郎。同時に島原の乱、天草一揆の謎も追うことになる。そしてそのとき天草では、キリスト系の保護施設の園長が撲殺されるという事件が起こっていた。
天草四郎に関しての歴史的な記述は昔気になって調べたことがあるのだが、とにかくファンタジックに描かれていることが多く、本当に実在したのかすら怪しく思えてしまう。が、その起こした奇跡について「忍術だったのではないか」といういかにも忍者の末裔らしい疑問の解決をもち、更に「なぜ四郎という名前だったのか」という謎まで解き明かし、その四郎がどこから来ているかも綺麗に解決してしまう。そしてまさに殲滅と言える原城の殺戮についても、謎を解いてしまうのだった。
QEDシリーズが素晴らしすぎたためにこちらのシリーズに手を伸ばすのを若干恐れていたのだが、やはり高田の描く歴史は面白い。



高田の歴史物ミステリは大好物で、それは「QEDシリーズ」から変わっていないのだが、今回は人物設定からその背景までをまるでリアリティのないものにすることにより、余計に「歴史のリアルさ」を迫ってくる作品となっている。
主人公は神社を継ぐことになっている青年、鴨志田甲斐。なんと「忍者」の末裔で、古武術なども父親に小さい頃叩き込まれている(が、自分の性格のせいか挫折している)。そんな彼が、巫女をしている少女、貴湖と共に事件を解決していくシリーズとなる。
扱う謎は、第1作の本書では「聖徳太子」の存在自体である。果たして彼は実在したのか、飛鳥時代の最大の功労者となっているが、どういった人物なのか。そしてそこから蘇我氏の謎を通り、現代の殺人事件へ結びつく。
それにしたって主人公が忍者の末裔っていうのはあまりにも! という感じなのだが、この主人公やる気がなくて微妙に共感せざるを得ない。ヒロインも忍者なら同級生も忍者だ。すごい。
聖徳太子と蘇我氏の争いについても、最後には納得のいく解釈が書いてあり、なるほど、と舌を巻いてしまう。



残念ながらこの話の前に読むべきである「QED-ventus~ 熊野の残照」と「QED 神器封殺」は手にしてないので、現時点での感想だ。
日本の三大怨霊と呼ばれる平将門を持ってきた。いやー最高ですね。
そしてタイトルは「御霊将門」。ん? 怨霊じゃないの? そう、御霊なんです。
この話の中での現代の事件は大した構造ではないのでひとまず置いておいて、タタルが延々と話す将門公のエピソードが、よだれが出るほど面白い。
朝敵とされた人間が追いやられ歴史上の闇になるまでがはっきりと分かる。
成田山はわたしも一度行ってみたいなと思っていた場所なので、それにまつわる小話も面白い。
将門調伏の本陣が、実は将門を祀っているなんて話まで飛び出す。

この歴史ミステリシリーズは私も大ファンであるが、案外この本の中に書かれていることは実際の生活に鑑みると面白いことが多い。
最近はお寺バラエティなんてのも放送していてうちの父はそれを好きでよく見ているのだけれど、お坊さんの歴史観と高田の歴史観は似ている、なんて思うこともある。
昔は僧には学がないとなれないと言ったものだが、小説家もこうして研究する姿勢が大事なのだろうなあ。




薬剤師、桑原崇(タタル)が探偵役を演じる、歴史と現代の事件が交錯する二重構造のミステリ、QEDシリーズ9作目。今回は舞台が岡山。そしてテーマは「桃太郎伝説」だ。
桃太郎のモデルとされる人物、吉備津彦命と、敵対していた鬼の名前、「温羅」、その伝説の概要程度は聞き覚えがあったが、世の中にはよく知っていると思っていても実際にはもっと深い物語があるものだ。特に昔話などその最たるもの。桃太郎伝説という最もメジャーな昔話を解りやすくロジカルにひもといていくラストには心が躍った。
ただ毎度の事ながら思うのが、現実の事件に対しての書き込みが薄いこと。ダイイング・メッセージ、生首、隠し通路、大釜・・・確かにこれだけとりあげれば派手なのだが、登場人物の心の機微をしっかり書けば、現実の事件ももっとすごみを増すのではないだろうか。
いや、このシリーズのファンはそんなこと求めてないかもしれませんがね。




鎌倉は、人生で一度は訪れたい場所である。
様々な名所に、江の電に、美味しい海の幸に、地ビールに・・・。どれをとっても極上の旅行になりそうではないか。今回のQEDシリーズは、そんな鎌倉を舞台としている。
内容は至って単純。タタルが棚旗姉妹と鎌倉を散策しながら、鎌倉幕府の謎(特に頼朝などの源氏暗殺について)と、現代に起こっている密室失踪事件の謎を解き明かしていくもの。
その単純さがいい。どっぷりと歴史の謎に浸り、ふっと浮かんだ先で現代の謎を解く、といった比重の置き方が、このシリーズの最大の魅力だ。
読み始めて何よりも「おお!」と思ったのは、有名な銭洗弁天の謎。お金を洗うと何倍にもなって帰ってくる・・・その本当の意味が、なんとも衝撃だった。なるほどなるほど、そういう意味だったのか。
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